キャラデザだけ見て「ほのぼのした冒険譚かな?」と油断して視聴を開始した過去の自分を全力でぶん殴りたい。この作品、可愛らしい絵柄の皮を被った「絶望の万華鏡」だよ。
物語の舞台は、人類最後の秘境である巨大な縦穴「アビス」。宝探しに魅せられた探窟家たちが、未知の生物や遺物を求めて命を懸けて潜っていくわけだけど、この深淵がもたらす物理的・精神的な代償がとにかく重い。上昇負荷という名の呪い、容赦なく襲いかかる異形、そして「愛」という名の執着が混ざり合う物語構成が秀逸すぎて、観終わったあとに数日間は放心状態になるレベル。
特に、深層へ進むにつれて明らかになる世界の歪みや、主人公リコとレグが直面する倫理観を揺さぶる試練の数々には、背筋が凍るような緊張感がある。ただのファンタジーだと思って観たら、いつの間にか「人間とは何か」「幸福とは何か」という根源的な問いを突きつけられ、気がつけばどっぷりと奈落の底まで引きずり込まれている。音楽も最高で、物語の絶望感を最大限まで増幅させる荘厳なオーケストラには、聴いているだけで涙腺と心臓が同時に締め付けられる感覚に陥る。この作品に出会ってから、日常の些細な幸せのありがたみを痛感するようになったよ。覚悟があるやつだけ、深淵を覗いてみてくれ。