今更ながら『ドロヘドロ』を一気読みしたんだが、これマジで語彙力消失するわ。まずあの唯一無二の画力な。荒々しいタッチで描かれる歪な街並みやキャラクターの造形が、ページをめくるたびに目に焼き付いて離れない。魔法使いと人間、ギョーザと死体、そんな相反する要素が混沌のスープとなって混ざり合うあの世界観は、まさに「唯一無二」の形容に相応しい。

物語の序盤は、記憶を奪われた男・カイマンが自身のルーツを探すというミステリー的な側面が強いんだが、読み進めるうちに「善悪の境界線」がどんどん溶けていく感覚に陥る。魔法使い側にも彼らなりの日常や愛憎があって、それが主人公サイドと衝突するたびに、どちらが正しいとかではなく「ただ生きるために必死なんだ」という熱量が伝わってきて胸が締め付けられるんだよね。特にあの独特のブラックユーモアのセンスよ。人がバンバン死んで、頭が変形して、それでもなお美味そうにギョーザを食らう。この狂気と日常の同居具合が、読んでいて中毒性高すぎてヤバい。

作者の林田球先生の描く、退廃的でいてどこか愛おしいキャラクターたち。恵比寿の可愛さも、心と能井の奇妙なバディ感も、敵であるはずのキャラクターさえも愛せてしまうこの不思議な魅力は何なんだ。2026年の今読んでも、一切色あせるどころか、むしろ現代の整いすぎた作品群に対する強烈なアンチテーゼとして輝きを放っている。一度ページを開けば最後、ホール(穴)の向こう側まで引きずり込まれるあの感覚。全巻読み終えた後の喪失感と充足感は、他の漫画では絶対に味わえない「極上の混沌体験」だったと断言する。未読の奴は人生の半分損してるから、今すぐ全巻揃えて沼に沈んでこい。