正直、最初は「キャラが可愛いし、ちょっとした冒険ものかな?」と高を括っていた自分を今すぐ殴りに行きたい。そんな生半可な覚悟で視聴した結果、今では完全にこの深淵の虜、というか呪われている。本作の凄まじさは、なんといっても「未知への恐怖」と「探求の昂揚感」を、これでもかとばかりに視聴者の脳髄に叩き込んでくる点だ。アビスという巨大な大穴が持つ、美しくも残酷な風景。その底知れぬ深さがもたらす絶望的な環境設定は、見ている側の理性をジワジワと削り取っていく。物語が進むにつれて明らかになる「上昇負荷」という設定が絶妙すぎて、肉体が変異する恐怖と、それを超越してでも先へ進もうとするリコたちの執念に、いつの間にか息をするのも忘れて見入ってしまうんだ。特に、音楽と演出の融合がもはや神業に近い。静寂の中で突然突きつけられるグロテスクな現実と、その直後に流れる叙情的な劇伴が織りなすギャップは、もはや一つの狂気。可愛い外見を装っているからこそ、その裏側にある業の深さが浮き彫りになり、一度見始めたら最後、二度と地上には戻れない感覚を味わうことになる。まさに、私たちの心までアビスの深淵に引きずり込む、傑作中の傑作といって過言ではないだろう。