最初は「可愛い動物たちが喋る日常系かな?」と完全に油断していた。Amazonプライムの画面で見つけた時、キャラクターデザインを見て「またほのぼの系か」と思ったんだ。だが、1話のラスト数分でその認識は粉々に打ち砕かれた。小戸川という一人のタクシー運転手、彼が紡ぐ会話の断片が、実は緻密に計算された凶器だったなんて誰が想像できるだろうか。
物語が進むにつれ、タクシーの車内で繰り広げられる何気ない世間話が、失踪事件という巨大なパズルのピースになっていく。脚本の精度が尋常じゃない。伏線という言葉で片付けるにはあまりにも鮮やかで、そして冷酷だ。登場人物全員が何かを隠している。アイドルの微笑みも、若手芸人のコンビ愛も、SNSのフォロワー数も、すべてが物語の結末に向けた伏線として収束していく様は、もはや快感を通り越して恐怖すら感じる。
見終わった後、世界が違って見えるようになった。街中で聞く他人の会話が、どれも何かの隠語や嘘のように聞こえてくる。誰かの何気ないSNSの投稿を見るたびに、「これは本当の言葉なのか?それとも裏があるのか?」と疑心暗鬼に陥るのだ。夜の都会を走るタクシーのヘッドライトを見るだけで、小戸川が見ていたであろう孤独な風景が脳裏をよぎる。日常の平穏な裏側には、必ず誰かの身勝手な欲望と、それを隠すための緻密な嘘が積み重なっているのではないか。そんな考えが頭から離れず、今ではすっかり人間不信という名の「嘘を見抜く病」にかかってしまった。このアニメを知る前の自分にはもう戻れない。あのラストシーンの震えは、一生忘れることができないだろう。