表紙に描かれた可愛らしい絵柄と、探窟家という響きに心を躍らせて読み始めたことを、今の私は心から後悔しているし、同時にこれ以上の出会いはなかったと確信している。最初は純粋な好奇心でアビスの底を目指す子供たちの物語だと思っていた。ところがどうだ。読み進めるたびに、この作品は私の中にある「優しさ」や「尊厳」といった概念を、容赦のない筆致で物理的に解体し始めたのだ。特に、深界層が進むごとに課される過酷な環境と、それに抗うキャラクターたちの姿を見ていると、自分の抱えている日常の悩みなんて、まるで塵のような軽さに思えてくる。
特筆すべきは、キャラクターたちが背負う「上昇負荷」の描写だ。ただの身体的ダメージの域を超え、彼らの魂の形を歪め、それでもなお突き進むしかないという強固な意志。その美しさと醜さが混ざり合った地獄のような光景を前に、読み手である私たちの倫理観は完全に崩壊させられる。気づけば、この歪な世界に魅了され、次なる深淵への一歩を渇望している自分に戦慄するはずだ。もはやこれは漫画ではない。精神を削り出し、深淵の底を鏡として自分の業を映し出す、極めて危険な「儀式」に近い。この作品に触れた後では、二度と元の平和な日常には戻れない。私の人生の価値観は、アビスの底深くへ沈んで二度と浮上することはないだろう。もし未読なら、覚悟を決めてからページをめくってほしい。あるいは、一生その扉を閉ざしたまま、幸せな人生を全うすることをお勧めする。