最初はただのファンタジーだ。あどけない子供たちが夢を追いかけ、未知の世界へ飛び込む。そんな王道冒険譚の皮を被っているからこそ、毒に気づいたときにはもう手遅れなんだ。深界へと降りるごとに、我々の常識は「深淵のルール」に上書きされていく。単なる障害物や敵対者ではない。生態系そのものが、愛おしいキャラたちを容赦なく「栄養」として処理していく残酷なまでの摂理。読者はモニターや紙面を通して、彼らの肉体が損壊し、精神が摩耗し、それでもなお呪いを背負って奈落の底を目指す姿をただ凝視することしかできない。その圧倒的な絶望の積み重ねが、いつしか「崇高な憧れ」へと変貌していく過程は、もはや信仰に近い何かだ。この漫画は、可愛い絵柄に隠された「地獄の美食」を読者の脳内に強制的に流し込んでくる。一度この味を知ってしまったら、もう普通の冒険漫画では満足できない体になってしまうんだ。この作品は、人間の生存本能と、破滅に向かう好奇心が交差する特異点。読み終わった後に残るのは、空虚な喪失感と、それでもなお「次」を求めてしまうどうしようもない渇望だけ。今夜も私は、暗闇の中に奈落の入り口が見えるような錯覚に陥りながら、震える手で続きを捲っている。戻れない。最初から、この深淵に落ちるためのチケットを握りしめていたんだ。