本屋で棚に並ぶキラキラとした表紙を見て、いわゆる「美少女キャラが戦うファンタジー」だと思って読み始めたのが運の尽きだった。最初は宝石たちが月人と戦うスタイリッシュなアクション漫画だと高を括っていたが、気づけば取り返しのつかない深淵に突き落とされていた。
この作品の何が恐ろしいかと言えば、キャラクターが「不滅」であるという一点に尽きる。物語が進むにつれて、長い年月の中で彼らが断片化され、個性を失い、役割を剥奪され、何より「記憶」というアイデンティティそのものが摩耗していく様をこれでもかと見せつけられる。肉体は壊れても修復できるし、歳も取らない。しかし、だからこそ逃げ場のない「終わりなき存在」としての過酷さが際立つ。読者はフォスフォフィライトという一人の宝石が、純粋な好奇心から絶望の淵へ至るまで、自らの存在を削り出しながら変化していく様子を凝視せざるを得ない。
美しいはずの宝石たちが、祈りや救済を求めて迷走し、他者との断絶を経験するたびにページをめくる手が震える。これは単なる勧善懲悪の物語ではなく、魂という概念そのものを解体する哲学的な劇薬だ。最終盤に達したとき、読者は自分が読んでいるものが物語なのか、あるいは彼らが歩んできた気が遠くなるような歳月の「記録」なのか判別できなくなるだろう。読み終えた後、自分の肉体が有限であることに、言いようのない安堵と虚無感を覚えてしまうはずだ。もう二度と、ただの石ころを見て以前と同じような気持ちにはなれない。
未だに最終巻の余韻で吐き気がする