表紙のポップな色使いと、タイトルから連想される「悪魔狩りの爽快なバイオレンス」という先入観。正直に言う。そんな浅はかな認識でこの作品を読み始めた過去の自分を全力で殴りに行きたい。最初は確かに、頭がチェーンソーの少年が派手に暴れる娯楽作だ。しかし、物語の歯車が回り始めた瞬間、読者は理解することになる。ここには「ヒーローの正義」も「物語の整合性」も存在しない。あるのは、地獄のような日常に擦り切れた少年が、ただ「普通の生活」を夢見て必死に足掻く、あまりにも痛々しい生存本能の叫びだけだ。

特筆すべきは、キャラクターの命が紙切れのように消費されていく容赦のなさだ。読者が愛着を持った瞬間に切り捨てられる絆、常識的な倫理観をあざ笑うかのように変質していく人間関係。作者が描いているのは、単なる悪魔との戦いではない。他者の「愛」という名の執着に絡め取られ、自分の意志すら見失っていく若者の、悲劇的な自己喪失の過程そのものだ。読み進めるうちに、主人公のデンジと共に読者の倫理観も麻痺していく。日常と狂気の境界が溶解し、何が救いで何が絶望かも分からなくなる。これは漫画というメディアを借りた、最悪で最高に美しい「感情の解体ショー」だ。最終ページを閉じた後、自分の心の中に何が残っているのか。それはかつての自分の残骸なのか、あるいは新しい何かへの萌芽なのか。読後のこの強烈な空虚感は、一生かけても埋まることはないだろう。