観る前は、京都の古本屋や鴨川を舞台にした大学生の青春群像劇、せいぜい少し個性的なラブコメだろうと高を括っていた。しかし、一話目で提示される「薔薇色のキャンパスライフ」という幻想に執着する主人公の独白を聞いた瞬間、その期待は鮮やかに裏切られた。繰り返される「あの時別の選択をしていれば」という後悔、無限に分岐する並行世界、そしてその全てが結局は同じ場所に収束していく無常観。これほどまでに「人生の選択」という普遍的でありながら、誰にも答えを出せない残酷な問いを、スタイリッシュかつ高速なテンポで叩きつけてくる作品は他に存在しないだろう。

特筆すべきは、物語が加速する後半の展開だ。四畳半という閉鎖的な空間がいかにして自己を殺し、また同時に自己を形作る檻となるのか。畳の上の四畳半が宇宙そのものへと変貌する演出には、もはや芸術を超えた狂気を感じた。観終わった後、自分の部屋を見渡した時、そこにある景色が以前とは全く別物に見えるという体験は、まさに呪いであり、同時に救済でもあった。ただの大学生の戯言だと笑い飛ばせればどれほど楽だっただろうか。この作品は、観る者の「選ばなかった過去」を掘り起こし、容赦なく現在と突き合わせる。観終わった今、私は自分が歩んできた道が唯一無二の正解だったのか、それとも無数の失敗の末の残骸なのか、分からなくなってしまった。全人類、いや、何者かになりたいと願ったことのある全ての未熟な大人に観てほしい。この圧倒的な「後悔の解像度」には、間違いなく魂が震えるはずだ。