最初は「また難易度の高いドット絵アクションか」と高を括っていた。可愛い女の子が山を登るだけの、よくある精密な操作を要求されるプラットフォーマー。そう思ってコントローラーを握ったのが運の尽きだった。

このゲーム、ただのアクションゲームじゃない。主人公のマデリンが直面する『パニック障害』や『自分自身の内なる闇』を、そのままギミックとして落とし込んでいる。死ぬことは「失敗」ではなく、自分という存在を克服するために必要な「対話」だったのだ。山頂を目指す過程で何度も落下し、キーボードを叩き割りたくなるような難所を越えるたびに、プレイヤー自身のメンタルとマデリンの精神が同期していく。特にチャプター7の怒涛の展開と、そこから流れる劇伴のボルテージが最高潮に達した瞬間、私は自分がコントローラーを握っていることを忘れていた。画面の中のキャラクターを操作しているはずなのに、なぜかモニターの向こう側にいる自分自身の弱さと向き合わされているような、とてつもない没入感。クリアした後の、あの静かな達成感と、自分という存在をようやく肯定できたような震えは、他のどのゲームでも味わえない極上の体験だった。高難易度アクションという皮を被った、あまりに誠実で、あまりに痛々しいほどの人間賛歌。もしあなたが自分という存在に少しでも生きづらさを感じているなら、この山を登るべきだ。登り終えたとき、景色は間違いなく変わっているはずだから。