最初は「宝石の体を持つキャラたちが戦うスタイリッシュなアクションものかな?」と軽い気持ちで観始めた。PVのキラキラした質感や軽快な会話劇に騙され、無邪気に視聴を続けた自分を殴り飛ばしたい。物語が進むにつれて、この作品が描いているのは「変化すること」への暴力的なまでの渇望と、それによって失われていく「自分という存在の連続性」であることに気づかされる。
主人公のフォスフォフィライトが、脆い体と無知という武器を持って世界に抗い、手足を失い、記憶を塗り替えられ、最終的には別人と呼べる姿へと変貌していく過程が残酷すぎる。数百年の月日が流れる中での喪失は、もはや悲劇という言葉では足りない。「宝石」という永遠の寿命を持つ存在だからこそ、彼らが積み重ねる虚無と執着の重みが視聴者の心にズシリとくる。特に後半の畳み掛けは圧巻で、ただのファンタジーだと思っていた世界設定が、実はSF的なレベルで根底から覆される構造には鳥肌が立った。
自分という存在を定義するのは記憶なのか、それとも魂なのか。そんな哲学的な問いを突きつけられ、見終わった後には虚無感と、それ以上に「それでも何かを選択し続けなければならない」という強烈な生存への執着が残った。綺麗な映像に隠された、あまりにも冷徹で美しい地獄。まだ観ていない人は、心を万全に整えてから、この石たちの輪廻に足を踏み入れてほしい。いや、本当に覚悟してくれ。軽い気持ちで観ると、人生観がバグるレベルで持っていかれるからな。