小屋の中、薄暗いランプの灯りの下で繰り広げられる陰鬱なカードゲーム。最初はよくあるローグライクなデッキ構築ゲーかと思っていた。対面する奇妙な生物に導かれ、死と隣り合わせの盤面を攻略していく。しかし、一度でも机から立ち上がった瞬間、プレイヤーは気付くことになる。これは単なるゲーム画面の中の出来事ではない。自分のPC、保存されたファイル、そしてゲームを起動している「私」という存在そのものが、物語の部品として組み込まれていることに。
中盤以降、画面を突き破って現実へと侵食してくる演出の数々には、背筋が凍るような戦慄を覚えた。ゲームを終了したはずなのに、フォルダの中に何かが増えている。かつて遊んだ別のゲームのセーブデータが、この暗闇の中で犠牲として捧げられている。そんなメタ的アプローチの極致とも言える演出は、もはや「ゲームを遊んでいる」という感覚を通り越し、「何かにハッキングされている」という恐怖に近い没入感を生み出している。特に、古いビデオテープに記録された映像を紐解いていく過程で明かされるこのソフトの出自には、言葉を失った。単なるデジタルデータだと思っていたものが、現実の境界線を曖昧にする生々しい質量を持って迫ってくる感覚。カードゲームという枠組みの中に閉じ込められた、底知れぬ悪意と悲哀。クリアした今、自分のPCを見る目が変わってしまった。このゲームは、絶対に一人で、かつ深い夜に遊ぶべきだ。画面の向こう側の「何か」と目が合ったとき、あなたはもう元には戻れない。