湯浅政明監督の演出が冴え渡る『ピンポン THE ANIMATION』を今更ながら完走したんだが、正直なところ「卓球アニメでしょ?」と高を括っていた自分を殴りたい。この作品はスポーツの枠組みを借りた、究極の人間ドラマであり、自己実現の物語だった。
まず驚かされるのが、その圧倒的な映像表現だ。漫画のコマ割りをそのまま動かしているような大胆なカット割りや、卓球台の上の静寂と激動を視覚化した演出は、観る者を作品世界へと強制的に引きずり込む。しかし、本当に恐ろしいのはその深層にある「才能」に対する残酷すぎるまでのリアリティだ。
主人公のペコとスマイルを軸に展開される物語は、努力すれば報われるといった単純な教訓を拒絶する。世界を見据える天才、努力の果てに限界を知る凡人、そして再起を誓うかつての星。彼らがそれぞれの卓球台という名の戦場で、己の価値を証明しようともがく様は、まさに現代を生きる我々の姿そのものだ。特に、才能に恵まれなかった者が、それでもなお「好き」という感情をエンジンにして泥水を啜りながら強さを追い求める描写には、胸が締め付けられるような痛みを感じた。アニメという媒体で、ここまで「人の一生」というものを鮮烈に焼き付けられるとは思わなかった。全話見終わった後の高揚感と、どこか寂しいような充足感は、他のどんな作品でも味わえない。視聴後、自分のスマホで卓球のラケットを握る真似をしてしまうほどには、完全に脳を焼かれてしまったよ。